ニュースリリースNews release
アキレス株式会社(本社:東京都新宿区、社長:日景一郎 以下、アキレス)、住友林業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:光吉敏郎 以下、住友林業)、株式会社GCJ(本社京都府京田辺市、代表:木下 明 以下、GCJ)は「土壌生分解性ツリーシェルター」を共同開発しました。
「土壌生分解性ツリーシェルター」はポリプロピレン製品の代替として植物由来原料を含む生分解性樹脂※を使用しています。利用後、森林の中で土壌中の微生物により自然に分解され、環境負荷が大幅に軽減されます。シェルターを運び出す作業が不要となり、運送や焼却処分で発生するCO2を大幅に削減できるほか、撤去する作業員の負担を軽くし、回収・廃棄コストが削減できます。
戦後植林された人工林の多くが伐採期を迎え、伐採・再植林が全国各地で進んでいます。ニホンジカや野ウサギなどが植林したばかりの木を食べる被害が林業の現場では大きな問題となっています。鳥獣被害を防ぐ手段としては、再植林地全体を囲う防護柵(防護ネットなど)が最も多く用いられていますが、メンテナンスの人手が不足しており、近年では植林した木を一本ずつ覆う単木保護資材(ツリーシェルターなど)も広く用いられています。
現在利用されている防護ネットやツリーシェルターの素材は主にポリプロピレン製で、設置後の回収作業や廃棄に労力とコストがかかるため、森林内に放置される恐れがありました。
アキレス、住友林業、GCJの3社はこの課題を解決するため、土壌生分解の効果がありながら従来品と同等程度の強度がある素材を開発。その素材を使った「土壌生分解性ツリーシェルター」を試作し、森林での実証試験を行ってきました。
環境省の公募で一般社団法人日本有機資源協会が採択した「令和2年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」として2020年からの2年間、開発と実証試験を行いました。
開発した「土壌生分解性ツリーシェルター」の主な原料は、植物由来のPLA(ポリ乳酸)を含む生分解性樹脂100%とし、従来のポリプロピレン製ツリーシェルターとの比較で植林木の成長性、資材の強度や分解性能などを検証しました。
その結果、従来品と同等の植林木の成長と資材の強度が確認され、土中に埋めることにより分解がさらに進む素材であることが実証されました。
ツリーシェルターを土壌生分解性にすることで脱炭素社会に貢献。林業から発生する環境負荷を軽減していきます。また撤去、回収、廃棄に関わる林業従事者の負担軽減につなげます。
2023年3月までに商品化し、コストダウンを進め、2030年度には国内で利用されるツリーシェルターのすべてが植物由来原料を含む素材となるよう取り組みます。アキレス、住友林業、GCJの3社は、食害対策の省力化・脱炭素化で環境にやさしい林業を目指した取り組みを推進します。
「土壌生分解性ツリーシェルター」は11月13日(日)、14日(月)に大分県別府市で開催される「2022第45回全国育樹祭開催記念行事 森林・林業・環境機械展示実演会」(主催:大分県、一般社団法人林業機械化協会)※で展示する予定です。
アキレス株式会社は総合プラスチック加工メーカーとして、建築・土木、製造・設備、電機・電子、車輌、農業・畜産、医療・防災、生活・レジャーの各分野において、日々の暮らしから産業、いのちを守る最前線までを支える多彩な製品を世界に送り出しています。多くの領域で事業を展開している強みを活かした総合力で、独自性のある製品・サービスをお客様に提供し、人と環境にやさしく快適な生活空間を創造する企業を目指しています。
住友林業グループは国内外で森林経営から木材建材の調達・製造、木造建築、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業を展開しています。木の伐採・加工、利用、再利用、植林という「住友林業のウッドサイクル」を回すことで、森林のCO2吸収量を増やし、木材活用で炭素を長く固定し続けることができます。世界の脱炭素シフトへのパートナーとして当社グループならではの「ウッドソリューション」を提供し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
株式会社GCJはツリーシェルター事業などを通じ、森林等の環境改善・維持に貢献しています。近年、国内で皆伐の志向が強くなり、同時に再植林面積も増加していますが、「植林から保育を含めた再造林費用負担が大きすぎる」「保育(下刈等)の人員が確保できない」など、伐採面積と再植林面積には隔たりがあると感じています。GCJは伐採跡地に迅速・確実かつ継続的に再植林が行えるように、「低密度植栽」「下刈削減」「食害防止」といった効果を発揮するツリーシェルターを提供し、省力・低コスト・確実をキーワードにした新しい再造林技術を提案しています。